自分の生き方を考えるための日記

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人工知能が造る未来

過去に録画したテレビ番組を漁っていて出てきた、NHKのNEXT WORLDという番組を見返した。

 

www6.nhk.or.jp

 

未来のほとんどを人工知能が予測しまう未来である。

 

以前から、僕は、IT化は人類にとって総合的に見ればマイナスな影響をもたらしたのではないかという気がしているところがある。インターネットは多くの障壁を取り払ったが、逆に言えば、我々が寄りかかるべき壁までもなくしてしまったと思っている。壁は全てが悪いものではなく、壁があれば我々は寄りかかって休むことができるし、過度な競争を避けるストッパーにもなる。また、IT化による情報過多に関して言えば、既に問題意識を多くの人々が持っていると思う。

 

NEXT WORLDでは、将来ヒットする歌手を人工知能によって見つけ出したり、犯罪が起きそうな場所を人工知能で予測しパトロールに反映させるといった、近未来的で、アメリカの一部地域では既に試みられている人工知能の活用が紹介されていた。

 

個人的には、やっぱり、メリットよりもデメリットが大きいように思えた。

 

将来ヒットする歌手を人工知能によって見つける例では、将来的に(ある意味での)格差がどんどん拡大していくのではないかという懸念を覚える。

もちろん、今までの「格差」の中には、縮小されるものもあるだろう。貧しくて、今まではスポットライトが当てられなかった人たちが、人工知能によって才能を見出されるかもしれない。

しかし、人工知能の予測が皆の行動計画を支配する世界では、やはり人工知能に従うのが、コストも少なく幸せに生きれる確率が高いので、みなそれに従うようになるだろう。そのような世界では「皆が幸せになる」と思うかもしれないが、実際にはそうとは限らない。例えばAくんからEくんまでいる世界で、AくんからDくんの将来を予測した時、Eくんとは関わらない方が幸せである、というような結果が出てしまったらどうだろう。Eくんは孤立することになる。人工知能がない世界では、最適解がわからなかったがために、このようなEくんのような状況にあっても、Eくんと接することが最適であると信じる人が現れることだろう(世の中には多くの人がおり、多くの考え方の人がいるので、探せばいるだろう)。しかし皆が人工知能に従えば、一極集中のような人気の分布になりかねない。今はいろんな考えの人がいるけれども、それもそれぞれの経験が異なるからで、皆が同じような経験ができるようになれば、皆の欲するものもかなり一致してきかねない。結婚相手とかなら一人が一人としか同時に結婚できないという制約があるので、「一番人気の一人」以外の需要がなくなるということはないが、小説家とか(あとはユーチューバーとか)の人気はかなり上位だけに集中しそうである(今の時代以上に)。

 

また、犯罪を防ぐために、人工知能に犯罪の起きやすい地域を予想させるというシステムは、以前推理ドラマ(相棒?)でも見たことがあるが、システムを作った人が実は悪い人で、警察を都合よく動かすようにシステムに仕込みをする、といったような懸念がある。また、実際には誰かの悪意というものが存在しなくても、人工知能は完璧ではないので人工知能の穴ができたり、その人工知能の穴をリスト化したものが裏の闇社会でだけ流通するといったことも考えられる。

今までのシステムでは、原理が(頭がいい人が見れば)見えていたので、どういう仕組みでそのような結論が出てきていたのか確認することができた。もしも結果がおかしいように見えたら、その結果が本当に適切なものか、誤ったものか、調べることができた。

それが、人工知能が予測する世界では、もはや理由は示されなくなる(数学的に複雑な処理(統計的な傾向分析の処理など)を挟むので、定性的な説明との対応を取るのは難しくなる)。一見おかしな結果が出てきても、実際にやって見ないと、うまくいくかはわからない。また、うまくいったように見えても、実は誰かが仕向けたものなのかもわからない。

 

そうはいっても、今からITのない世界にすることはできないだろう。

今までは、社会のこのような問題を、一部のエリートが主導して解決してきたように思う(国の政策などのレベルで)。しかし、IT化、人工知能化の動きは、政府やエリートが簡単に規制をかけられるようなものではなく(人間のクローンを造るのを倫理的に禁止することは十分ありうるが、人工知能の開発は(直接的には)メリットしか生じないと今は思われているのでなかなか規制されないだろう(上記で書いたデメリットは間接的な影響で、人工知能の規制理由にはしづらい)。また、たとえ規制をかけることができたとしても、世界から取り残されてしまう恐れが生じる)、世論が主導して未来を選んでいかなければならない問題のように感じる。

そして時代はすごいスピードで進んでいる。

もはや我々に、人工知能の問題を後回しにする猶予などないのではなかろうか。